1985年の夏、その年の夏は、いわゆる猛暑でした。
日ざしが燦々と降り注ぐ日が続く7月。
ある意味、「燦々」というと爽やかなイメージがありますが、実際は「ジリジリ」という表現が合う暑い夏でした。私は明治時代に造られた蔵と檜造りの離れ家の改修工事について行きました。というのは、親方である父の恩師であり、当時の私の恩師のお宅だったからでした。
当時私はまだ学生でしたので現場の事は何も解らないし、何の役にたつ訳ではないのですが・・・何故連れて来られたのだろうと謎めいていました。
親方(父)に「こっち来て見てみろ。」と言われ、行ってみました。
そこは、天井の躯体が現しになっている状態の場所でした。
親方(父)は、棟木を指差し、明治時代にこの建物を
造った棟梁が残した言葉だと教えてくれました。
指差された棟木には、力強くこう書かれていました。
真心をこめし工匠の名を連ねて建ち○○○○
天長地久の願い ○○○○
と書き残されていました。(残念ながら○○○○の部分は書かれた文字が消えていて読み取れませんでした。)
当時を思い出し棟木に書かれていた言葉と、私が先代より、親方(父)より昔から受け継がれてきた言葉、数を造るのではなく、質 と笑顔を造る事の意味を受け継ぎ、ひのき乃工房 樹の城は進み続けます。
そして家を造るプロとして受け継がれてきた大切なことを守り続け、そして棟梁や職人として誇りをもち一生懸命真心を込めて造り、お施主様より笑顔でいただくありがとうのために。
日本中の家造りのプロ達に、棟木に残されていた言葉・・・新しい世界にも受け継いでもらいたいです。
代表取締役 森田欣哉
家をつくるという事は、単純に「場所」を造る事ではありません。「人の生活」をつくる事、人生を大きく左右する大きなイベントです。
家の安心、性能は元より、住む人に長く愛される、住む人にとって生活的にも、精神的にも幸福になれる家が、私達の目指す家づくりです。
そして「自然が持つ恵み」と、人との関係を大切に守る企業でありつづけます。
時代の変革と共に進歩する技術や設備を見極める。良質なものは先進的に研究し常に先を見続けます。しかし、時代は変われど、家を造るのに本当に大切な事は「真心をこめた工匠」「現場第一主義」の精神です。「いつの時代も家は人が造る」事を忘れずに人と人との繋がりを大切にした、家を造り続けます。
それは私たちが一邸一邸、そこに住むご家族の幸せを真剣に考えて造っている自信からくるものです。
ひのき乃工房 樹の城の家を見学会などで、実際に見ていただき、感じていただけたら幸いです。